計算の特徴

 純国産FEMエンジンImpCAMを搭載

 従来、汎用されているFEMと比較して非常に計算精度が高い、土/水連成陰解法弾塑性計算アルゴリズムを世界ではじめて採用しました。その特徴を述べますと...

■高い計算精度が得られます。

 一般に弾塑性解析は理論解が求まらないので計算精度は不明でありますが、本ソフトで用いている方法では、つり合い式、連続式、降伏関数など満たさなければならない関係式を常に満足しながら解析を進めておりますので、そういう意味では非常に高精度です。

■短時間で安定的に解を求めることができます。

 陰解法弾塑性計算アルゴリズムでは、変位の非線形連立方程式に帰着されるFEMの全体剛性方程式を、ニュートンラフソン法に整合した形式に修正している為、理論的には2次収束と絶対収束が保証されており、速く解にたどりつくことができ、また、安定的に解を求めることができます。

■計算ステップ数に依存しない解が得られます(ロバスト性)。

 実務者の方が従来のFEMで経験されている例によると、トンネルの変形解析を行った際に、ステップ数を変化させると結果が全く違ったものとなり、一体何を解析しているのだろうと不安になるそうです。本ソフトで用いている陰解法弾塑性計算では、ステップ数に依存しない結果を得ることができます。すなわち、収束する範囲においては、ステップ数は関係ありません。

■時間経過(施工工程)を正しく考慮できます。

 本ソフトでは土/水連成(土骨格の変形と間隙水の流動を同時に計算する)解析を行っております。そのため、放置(クリープ変形)などの影響も検討することができます。


ちょっと詳しく述べると...

 現在まで地盤工学関係で汎用されている通常のFEMソフトは、(それにニュートンラフソン法を用いて解析スピードを強調したものであっても)陽解法による定式化に基づき開発されております。陽解法に基づき開発されたものは、土の力学特性である構成式(降伏曲面に応力がのっている事を使用して、最終的には応力とひずみの連立偏微分方程式になっておりますが)を単に一階の差分に直した物を、初期から逐一近似解を求めていくものです。リターンマップがなければ、(既存の販売されているソフトはそうなっていますが)そのような近似で解いた場合、応力が降伏曲面上にのっている条件が解析を進めるうちに段々と失われていきます。この場合、通常は解くステップ数を増やしていけば、多少解は改善されていきます。しかし、どんなにステップ数を増やしても、ほとんどの場合、解の改善の壁にぶちあたります。しばしば、ステップ数を増やしても解の改善どころか、解が発散してしまいます。したがって精度の高い解を得ようとすれば、必然的に莫大な時間がかかり、かかったところで精度の高い解に近づく保証は無いのです。

 一方、本ソフトに用いている陰解法リターンマップによる弾塑性有限要素法解析では、上記した降伏曲面に応力がのっている事を使用した応力とひずみの連立偏微分方程式をそのまま逐次解くのではなく、概念的に述べますと、まず弾性的にジャンプし、次に降伏曲面上に非常に精度良く(時には正確に)、着陸(リターンマップ)するのを繰り返すという方法をとります。したがって、ジャンプの数、すなわちステップ数とほぼ無関係に、降伏曲面上に非常に精度良くのる(着陸する)解が得られるのです。以上より、非常に精度の良い解が、陽解法によるものより、非常に速く得られるのです。


陰解法

陽解法


 山道のついている山登りにたとえれば、陽解法は目隠しをして山頂に一歩一歩、歩いて登るようなもの。したがって、しばしば山道を外れて歩き、山頂に辿り着けるのもまれな登山であります。一方、陰解法(リターンマップによる弾塑性有限要素法解析)は、山頂が常に完全に見えていて、それに向かって山道を正確に踏みつつ、相当な距離を空中をジャンプしながら山頂に辿り着く登山であります。

 他社のものより計算速度が2倍速いだけで「計算速度が速い」弾塑性解析FEMソフトと宣伝されているものがありますが、陰解法リターンマップを用いた本ソフトは、同一の精度の良い解を得る為の計算速度は、従来のものより数万倍速いと言っても過言ではありません。陽解法の解析によっては収束しない問題が、本ソフトで用いている陰解法では収束する場合も多々ありますから、その場合は「無限大」速い計算速度とも言えます。

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